[ テーマ: 人事労務 ]
2009年10月19日11:00:00
社会保険労務士会では、「中小企業のための就業規則講座」をテーマにセミナーを開催しています。10月7日には東京労働局主催でも同テーマでセミナーがありました。
その内容の復習を兼ねて「就業規則」についてまとめます。
【就業規則の意義】
就業規則とは「会社の憲法」のようなものです。
従業員の労働条件や職場のルールのほか会社運営の方針などを定めます。
企業経営での労務管理の骨格になるものです。
【就業規則の役割】
就業規則には以下のような役割があります。
①職場の共通ルールの確立
②労働条件を書面に明確にすることで労使の信頼関係の確立
③職場の労務トラブル防止と解決のための合理的根拠
④安心感ある職場ができて、労働生産性が向上
⑤労務紛争の多発長期化を防止し、労務管理コストを削減
などです。
【不況で増加する労務トラブル】
実は、「労務トラブルが増加しています」。
厚生労働省によると、「職場のトラブルの相談件数」は、平成20年度は、100万件を超えました。平成19年度と比べると7.8%と大きく増加しています。
内容は、「解雇」「職場でのいじめや嫌がらせ」「労働条件の引き下げ」が大きな割合を占めています。今日の不況や職場環境が大きく影響していします。
【就業規則が労務トラブルを防ぐ】
労務トラブルの原因は、
・従業員に労働条件を示していないケース
・就業規則がそもそも作成されていないケース
が、とても多いのです。
つまり、
労務トラブルを防ぐには、
就業規則を作成し、労働条件を明確にすることが重要です。
就業規則は、経営者にはとっては、労務トラブルに巻きまれないための「転ばぬ先の杖」なのです。
従業員数10人未満の会社は法律上、就業規則の作成義務はありません。
しかし・・・
定めがないという事は労働トラブルに直面した際、「会社としての基準が存在しない」という事を意味しています。
【就業規則の効力の発生】
就業規則は作っても。社長の机の中にしまっていてはだめです。
①労働者の過半数を代表する者に意見を聴く
②就業規則を労働基準監督署に届ける
③従業員全員に周知させる
以上の手順を踏んで就業規則は初めて有効になります。
又、労働基準法や労働協約を下回る定めは無効です。
【就業規則の作り方】
①就業規則の記載事項を決める
②実態に則した規則を検討する
③法令違反がないかのチェックを行う
④その他の諸規定を作成するか検討する
⑤従業員への周知、労働基準監督署への届出を行う
簡単に言えばこうなります。
実際はこう簡単に行かないものです。 服務規程や懲戒の理由など会社によって意見が違うのは当たり前です。
さらに、近年では毎年のように法改正が行われそれにも対応しなければなりません。
無駄な就業規則を使ってはいませんか ?
後で気付くと、余計なトラブルや費用が発生します。