[ テーマ: 人事労務 ]
2009年10月2日10:19:00
最近、新型インフルエンザが、また流行りだしています。
「新型インフルエンザが日本に上陸した4月からこれまでの間、大企業では業務に支障が出ないようにする行動計画の策定が進んだが、中小企業はまだできていないところが多い」という内容がニュースになっていました。
中小企業で最低限、手をつけておく課題としては、大掛かりなものでなくても担当者が休んでも業務が回るようにするための業務の整理・マニュアル化と新型インフルエンザで社員を休業させた場合の賃金・手当の支払いの確認が挙げられます。
新型インフルエンザで社員を休業させた場合の賃金・休業手当ての支払の労働基準法上の取り扱いについては、厚生労働省がQ&A形式で一般的な考えを示しています。
http://k.d.combzmail.jp/t/69ah/808wtby01fwd7gd0x9
整理すると・・・。
<本人が、感染した場合>
●インフル感染+医師等の指導・保健所等の協力要請で休業⇒休業手当不要
○インフル感染+医師等の指導・保健所等の協力要請を超えて会社の指示で休業⇒休業手当要
<本人が、感染の疑いがある場合>
○発熱でインフル感染の疑い+会社の指示で休業⇒休業手当要
●発熱でインフル感染の疑い+労働者が自主的に休業⇒休業手当不要
<本人が、仕事で感染者と濃厚接触した場合>
●インフル感染者と仕事上濃厚接触+保健所等の協力要請で休業⇒休業手当不要
○インフル感染者と仕事上濃厚接触+保健所等の協力要請超えて会社の指示で休業⇒休業手当要
○インフル感染者と仕事上濃厚接触+会社の指示で休業⇒休業手当要
<本人が、家庭で感染者と濃厚接触した場合>
●インフル感染者と家庭で濃厚接触+保健所等の協力要請で休業⇒休業手当不要
○インフル感染者と家庭で濃厚接触+保健所等の協力要請超えて会社の指示で休業⇒休業手当要
○インフル感染者と家庭で濃厚接触+会社の指示で休業⇒休業手当要
結局結論は、
結局結論は、 「会社が休業を指示する場合」は、 「医師等の指導・保健所等の協力要請で休業させる場合を除き」、 「休業手当が必要」 |
ということです。
さらに「休業手当不要」とされる場合でも、自宅勤務などにより従業員を業務に従事させることを検討するなど、「休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合」には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払いが必要となることがある、としています。
いずれにせよ、新型インフルエンザは、ただの季節性のインフルエンザと異なり、感染力が強く生命への危険も大きい病気です。感染者や感染の恐れがある従業員が発生した場合、会社での感染拡大の防止を基本方針とすることが経営者の判断としては適切だと考えます。
▼厚生労働省
「新型インフルエンザ対策関連情報
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html
▼(財)労務行政研究所
企業はどう取り組んでいるか 新型インフルエンザ対策
※企業の「休業手当」の取り組みの実態が報告されています。
https://www.rosei.or.jp/contents/detail/20086
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2009年10月1日11:17:00
エコで話題の「自転車通勤」。労務的な観点で考えてみましょう。
Q) | 当社の就業規則は「通勤は、公共交通機関を使用して行い、実費相当額を通勤手当として支給」と規定しています。ところが一部の社員が自転車通勤を会社に無断で行っています。 ●会社に無断で自転車通勤を行っていた従業員が交通事故に被災した場合、通勤災害の労災保険は支給されますか? |
A) | 通勤災害の認定はされます。 ●労災保険で規定する通勤とは、「労働者が就業に関し、住居と就業の場所との移動」を「合理的な経路及び方法」によって行うことと定義さています。会社への届出や許可がどうのということは関係ありません。 ●「合理的な経路」は、会社に届け出ている経路はもちろん、子供を預けるため託児所に立ち寄る経路など、通常考えられる経路であれば合理的な経路に含められます。 ●「合理的な方法」は公共交通機関や徒歩の他、自動車、自転車も含みます。たとえ、社内規程などで通勤手段として自転車通勤禁止を定めていたりしても、通勤災害の認定には影響しません。(もちろん酩酊状態で運転していたりや危険な運転行為をしていた場合は通勤災害とは認定されませんが) |
ついでながら、労使の協議等を経て、就業規則に「自転車通勤禁止」を規定することは問題ありません。また、交通費が高い交通機関を会社に届け出て、実際は安くすむ自転車で通勤しているなどという問題もあると思います。通勤災害の問題だけでなく、就業規則の服務規律違反、あるいは懲戒規定抵触、賃金規定の見直しで考える事になります。これらについては、また改めて。
▼自転車通勤の問題点整理の3つの視点
1)通勤途上の事故(被害者の場合、加害者の場合)
2)通勤費の取扱い(許可の基準、金額、周知)
3)駐輪場の確保
▼労災保険法(7条1項2号、2項、3項)「通勤」
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe.cgi? MODE=hourei&DMODE=CONTENTS&SMODE=NORMAL
&KEYWORD=&EFSNO=1037
労務人事 労災 自転車通勤