[ テーマ: 人事労務 ]
2009年11月24日21:25:24
先週は、ひょんなことから
「社労士受験体験談」の強化週になりました。
私も受験生時代、Blogを参考にしていたので、
もっと書いておきたい気持ちはあります。
が、しかし、
そろそろ社労士本業の内容に戻したいと思います。
受験体験談目的でお越しになられた方、すみません。
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本日は、
就業規則の休職規定についてまとめます。
就業規則の相談を受けた場合の、
わかりやすいチェックポイントが
「休職」の規定です。
会社の憲法と言われる就業規則には
ほとんどの場合この「休職」の項目が入っています。
ところが、
最近「メンタルヘルスの対応」の観点で、
この「休職」の規定に注目が集ってきたのです。
メンタルヘルスによる
長期間の休職や、
治って復職したかと思うとまたすぐに
再発で休職してしまう断続的な休職など、
新しい「休職」パターンがでてきているのです。
外見や医師の明快な診断で判断できたケガや病気と異なった
「休職」の対応が必要です。
それでは具体的に見てみましょう
<基本的な雛型休職規定>
会社は、次の場合、従業員に休職を命ずる
・私傷病による欠勤が2カ月以上続いた場合。
・休職期間中は、無給とする。
・休職期間満了までに、
休職事由が解消しない場合は、当然退職とする
休職規定は、
大概このような要素で成り立ってます。
これを見直す際の留意点は
大きく次の5つの項目となります。
1)休職理由が時代に対応しているか
2)休職該当事由の起算日が明確に記されているか
3)休職期間の設定が適切か
4)勤続年数における休職期間の取扱いを考慮できているか
5)休職日数の累積取扱や上限を設定できているか
詳しくは後日改めて解説しますが、
休職は、
どのような理由で、
いつから始まり、
どんな従業員に
どのくらい期間、
どうなるまで適用するのか
を明確化しなければなりません。
そして、最後に
休職はあくまでも解雇猶予措置です。
退職・解雇への手続きをしっかり確認しておかなくてはなりません。
このことは、従業員にもはっきりと意識してもらっておかねばなりません。
最近は本当に労使紛争が多いので気をつけましょう。
では本日はこのあたりで。
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2009年11月17日19:33:46
就業規則には記載すべき項目があります。
このことは「就業規則_2」でお話ししました。
就業規則には、
「絶対的記載事項」「相対的記載事項」の2つがありますよ。と。
今回は、復習を兼ねて、
その記載事項を役割の観点から整理をしてみましょう。
【絶対的記載事項】
就業規則には
「必ず記載しなければならない項目」があります。
これが絶対的記載項目です。
1.始業及び終業に関する事項(休憩時間、休日を含む)
2.賃金に関する事項(締切日、支払日、昇降給を含む)
3.退職に関する事項(解雇の事由を含む)
です。
もし漏れがあった場合、就業規則とは認められません。
【相対的記載事項】
これは
「定めがあれば記載するべき項目」の事です。
1.退職手当の内容
2.臨時の賃金(賞与等)の事項
3.服務に関する規定
4.懲戒に関する規定
5.個人情報に関する規定
などです。
これらの事項が定められてなくても、
就業規則は成立します。
しかし、
賞与や懲戒などの内容が定められていない就業規則が、
役に立つでしょうか ?
就業規則が「会社の働き方のルールを示す憲法」という意味において、
このような規程を、検討し作成することが大事だと考えます。
是非、会社の働き方に対する意思を反映した、
本当に役に立つ就業規則を用意しましょう。
【別に定めのできる事項】
これは、就業規則とは別規程にして、
内容を詳しく作成できる事項の事です。
1.賃金(退職手当を除く)
2.退職手当
3.安全衛生
4.災害補償及び傷病扶助
賃金規程、退職金規程については、
必ず別規程で定める事をお勧めします。
制度の詳しい説明が、社員のモチベーション向上に関係してきます。
「就業規則」についての疑問は、どうぞお気軽にご相談下さい。
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2009年10月20日11:00:00
就業規則は企業における憲法みたいなものと前回ご説明しました。
そこで今回は、就業規則の基本的な内容をまとめます。
【作成義務】
法律上、就業規則の作成義務は、常時10名以上(パートを含む)の労働者のいる事業所です。
ただし、10名未満の企業でも就業規則は作成するのが望ましいと考えます。
理由は、まず、会社の方針を明確にでき、会社の一体感作りが図れるからです。就業規則の作成は、会社の方針やルールを書面に明確にするという作業です。その作業は、会社の今後の姿をイメージするものです。就業規則を作ることで、会社の将来像を共有でき、モチベーションを上げることになります。
また、小規模な企業の労務トラブル多くは、「社長はこう言った」、「いやそうは言ってない」という内容です。このようなトラブルは職場の雰囲気を大変悪くします。一人一人が大きな戦力である小規模の企業には大きなマイナスです。規模の小さい企業こそ、就業規則という書面で、労働条件を明確にすることが大切です。
【意見聴取・意見書の添付】
「就業規則」の作成や変更にあたって、従業員の意見を聞くことも義務付けられています。届出る際には、この従業員の意見を書面で添付しなければなりません。例え、その意見が就業規則の内容への反対意見であっても、それが就業規則の効力に影響を及ぼすことはありません。
問題になるのは、この意見書の内容ではなく、意見を聞く従業員の選定の方法についてです。ここでいう従業員とは具体的には「労働者の過半数で組織する労働組合、それがない場合には過半数を代表するもの」のことをいいます。過半数労働組合は問題になりにくいのですが、過半数代表者の場合注意が必要です。過半数代表者の選定にあたり従業員による挙手・投票など選定手続きの手順を正しく踏んでください。会社が指名したりしてはいけません。また、投票者の人数や意見聴取の手続きなど記録は保存しておいてください。
初めて作る就業規則の意見聴取は大体正しく行われますが、就業規則の内容を変更した場合、意見聴取の手続きがおざなりになりやすいです。後々トラブルの元になります。「変更された就業規則は、社長が従業員の意見を勝手に作成したもので無効だ」という主張がでてきます。気をつけてください
【記載事項】
●絶対的必要記載事項 ①始業及び終業時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する事項②賃金に関する事項③退職に関する事項(解雇の事由を含む)となります。
●相対的必要記載事項(定めがある場合という意)①退職手当②臨時の賃金(賞与等)の事項③労働者に負担する食費、作業用品など関する事項④安全及び衛生に関する事項⑤職業訓練に関する事項⑥災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項⑦表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項⑧その他、事業場の労働者のすべてに適用される事項
「就業規則」には、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」が定められています。
「絶対的必要記載事項」とは、就業規則に必ず記載しなければならない事項です。具体的には労働時間、休日、休暇や賃金さらに退職の事由などです。「相対的必要記載事項」とは、規則や制度として定めるのであれば就業規則に記載しなければならない事項です。具体的には、退職手当や賞与、制裁、その他全ての労働者に適用される事項などです。
「就業規則の絶対的必要記載事項」は、労働契約を締結するときに労働者に書面で示さなければならい「労働条件の絶対的明示事項」から「労働契約の期間」「就業の場所」「従事する業務」「所定労働時間を超える労働時間の有無」など労働者毎に大きく異なる内容除いたいものです。
つまり「就業規則とは、労働契約締結の内容を書面化し公的に届出たもの」であるといえます。
【周知義務】
就業規則の全項目を従業員全員に周知させる必要があります。
【効力】
就業規則の内容は、法令及び労働協約を下回ってはなりませんし、個別の労働契約が就業規則を下回った場合、その部分が無効になります。
就業規則が効力を持つためには、労基署への届出ることが条件ですが、さらに従業員へ内容が周知されることが必要です。最近、就業規則の周知、つまり従業員なら誰でも内容を確認することができる状態・方法にあるかということについて労基署のチェックも入ってきています。就業規則が、①見やすい場所での掲示・備付けがされている、②書面交付されている、③常時確認できる状態のパソコンなどがあることのいずれかが必要です。社長席の後ろの棚ファイルされているのがいいかどうかはここでは議論しませんが。
周知は、遅くとも就業規則の施行日と同時に行うべきです。
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2009年10月19日11:00:00
社会保険労務士会では、「中小企業のための就業規則講座」をテーマにセミナーを開催しています。10月7日には東京労働局主催でも同テーマでセミナーがありました。
その内容の復習を兼ねて「就業規則」についてまとめます。
【就業規則の意義】
就業規則とは「会社の憲法」のようなものです。
従業員の労働条件や職場のルールのほか会社運営の方針などを定めます。
企業経営での労務管理の骨格になるものです。
【就業規則の役割】
就業規則には以下のような役割があります。
①職場の共通ルールの確立
②労働条件を書面に明確にすることで労使の信頼関係の確立
③職場の労務トラブル防止と解決のための合理的根拠
④安心感ある職場ができて、労働生産性が向上
⑤労務紛争の多発長期化を防止し、労務管理コストを削減
などです。
【不況で増加する労務トラブル】
実は、「労務トラブルが増加しています」。
厚生労働省によると、「職場のトラブルの相談件数」は、平成20年度は、100万件を超えました。平成19年度と比べると7.8%と大きく増加しています。
内容は、「解雇」「職場でのいじめや嫌がらせ」「労働条件の引き下げ」が大きな割合を占めています。今日の不況や職場環境が大きく影響していします。
【就業規則が労務トラブルを防ぐ】
労務トラブルの原因は、
・従業員に労働条件を示していないケース
・就業規則がそもそも作成されていないケース
が、とても多いのです。
つまり、
労務トラブルを防ぐには、
就業規則を作成し、労働条件を明確にすることが重要です。
就業規則は、経営者にはとっては、労務トラブルに巻きまれないための「転ばぬ先の杖」なのです。
従業員数10人未満の会社は法律上、就業規則の作成義務はありません。
しかし・・・
定めがないという事は労働トラブルに直面した際、「会社としての基準が存在しない」という事を意味しています。
【就業規則の効力の発生】
就業規則は作っても。社長の机の中にしまっていてはだめです。
①労働者の過半数を代表する者に意見を聴く
②就業規則を労働基準監督署に届ける
③従業員全員に周知させる
以上の手順を踏んで就業規則は初めて有効になります。
又、労働基準法や労働協約を下回る定めは無効です。
【就業規則の作り方】
①就業規則の記載事項を決める
②実態に則した規則を検討する
③法令違反がないかのチェックを行う
④その他の諸規定を作成するか検討する
⑤従業員への周知、労働基準監督署への届出を行う
簡単に言えばこうなります。
実際はこう簡単に行かないものです。 服務規程や懲戒の理由など会社によって意見が違うのは当たり前です。
さらに、近年では毎年のように法改正が行われそれにも対応しなければなりません。
無駄な就業規則を使ってはいませんか ?
後で気付くと、余計なトラブルや費用が発生します。